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Highbridgees

都電荒川線とファスナー

都電がファスナーをしめてゆく

霧雨の街がバラバラになってしまわぬように

ゆっくりファスナーをしめてゆく

 

君の肩まで後数センチ

気が利く運転手が急ブレーキをかけてくれたら

触れてしまおう

 

行っちゃダメ 僕を置いて 行っちゃダメ

面影橋で一緒に降りましょ

見えないふりをして 消せない境界線

二人を隔てる そのファスナーをしめて

 

一つのビニール傘 君の右肩が濡れて

僕の左肩も濡れる 無口なまま…

二人の間のファスナーを しめてと願う

 

君の小指まで後数センチ

震度2の揺れが僕らを襲ってくれたなら

触れてしまおう

 

言っちゃダメ その言葉 言っちゃダメ

上り列車がファスナーを開けても

わざと騙されて 夜と雨の魔法

せめて次の曲がり角まで 何も言わないで…

 

都電がファスナーをしめてゆく

霧雨の街がバラバラになってしまわぬように

ゆっくりファスナーを 巨大なファスナーを

二人の間のファスナーを閉めて…

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