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Highbridgees

月男

君の本棚から盗ってきた文庫本は
やっぱり君の本棚の匂いがした
付随してよみがえる
散らかった明るい部屋

昼食のホットケーキのお皿にもう夜が落ちてきて
ソファに寝転がったまま
一番星を確認した
今日のことは思い出せないけれど
昨日の夢は確かに君の夢だった

 

今さらだけど 君は月男だったんじゃないかって
会えた日には いつも月が近かった
今日は見えない月があった

 

空を見上げて
悲しそうだった君は
振り返って僕に笑顔をくれた
どうして気づかなかったんだろう?
あれが最後の夜になった

 

ピントがずれたあの夜が進行してゆく様を君と見てた
車の下に隠れる猫
月明かりが照らしていた
畳には本棚の跡が残ってる
視界が涙でぼやけても記憶は鮮やかなまま

 

今さらだけど君は月男だったなじゃないかって
君といる世界は甘くて柔らかかった
右上に三日月が添えてあったりして

 

今さらだけど君は月男だったなじゃないかって
君といる世界は甘くて柔らかかった
右上に三日月が
今日は見えない月があった

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